まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

2011-01-01から1年間の記事一覧

「言語技術」が日本のサッカーを変える

「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)作者: 田嶋幸三出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/11/16メディア: 新書購入: 5人 クリック: 77回この商品を含むブログ (48件) を見るを読んだ。サッカーについての新しい考え方を示した本だが、少しつ…

創造的な人の特徴

授業の関係でPaul ThagardのHot Thought: Mechanisms and Applications of Emotional Cognition (A Bradford Book)作者: Paul Thagard出版社/メーカー: A Bradford Book発売日: 2008/08/29メディア: ペーパーバック クリック: 9回この商品を含むブログを見る…

Why We Cooperate

Why We Cooperate (Boston Review Books)作者: Michael Tomasello,Carol Dweck,Joan Silk,Brian Skyrms,Elizabeth S. Spelke,Deborah Chasman出版社/メーカー: The MIT Press発売日: 2009/08/28メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 75回この商品を含…

トーク@科学哲学センター

先日科学哲学センターでトークをしたのですが、トークの模様がセンターのディレクターであるジョン・ノートン先生によってレポートされていますので、もしよければご覧ください。わたしの顔写真が一杯出てきて恥ずかしいですが、欧米社会はそういう仕様なの…

科学の継続ではなく科学の解釈

授業の関係で読んでいるギャリー(Giere)のScientific Perspectivism作者: Ronald N. Giere出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2010/06/15メディア: ペーパーバック クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見るに科学哲学に関わる一節があった…

九月より

私事ですが、来る九月よりアメリカのピッツバーグ大学の科学哲学センターにてポスト・ドクトラル・フェローとして赴任することになりました。ピッツバーグ大学の科学哲学センターは、その世界ではすごいところなので、わたしがそんなところに行くなどという…

ぼくはこんな本を読んできた(夏休みに)

ヒトはいかにして人となったか―言語と脳の共進化作者: テレンス・W.ディーコン,Terrence W. Deacon,金子隆芳出版社/メーカー: 新曜社発売日: 1999/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (18件) を見る言語の進化についての浩瀚な…

知能にかんする本四冊

国際的な雑誌に論文が載るなら契約して魔法少女になってもよいと思っている今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか*1。さて最近知能にかんする本を何冊か読んだので、簡単にメモします。IQってホントは何なんだ?作者: 村上宣寛出版社/メーカー:…

ハトとヒト、どうして差がついたか...慢心、環境の違い

最近ためしてガッテンでも取り上げられたモンティ・ホール問題だが、ハトの方がヒトよりもモンティ・ホール問題をよく学習できる(かも)という論文を見つけた*1。モンティ・ホール問題とは以下のようなものだ。 あなたはクイズ番組に出演します。司会者はあ…

科学哲学には何が期待されていて何ができていないのか

『ダーウィンと進化論の哲学 (科学哲学の展開)』について評論家の山形浩生さんから厳しい書評をいただいた(リンク)。すでに他の方が指摘されている通り、あの書評には個々の論文について指摘された「問題点」について事実誤認や的はずれのところがある。他…

別の手段をもってする科学の継続

UCLのHasok ChangがThe Philosophers' Magazineのインタビューで、科学哲学の意義について語っている。Inventing Temperature: Measurement and Scientific Progress (Oxford Studies in the Philosophy of Science)作者: Hasok Chang出版社/メーカー: Oxfor…

理性をモデル化する

スティッチ&シュタインの議論では、自然選択からヒトが理性を持つことを直接導き出すのは難しいことがわかった。彼らはとくに「〈転ばぬ先の杖〉論法」を用いて、進化の道程において自然選択によって最適にデザインされた認知システムは、理性的なシステム…

ダーウィンと進化論の哲学

暑い日が続いておりますが、わたしが分担執筆した著書『ダーウィンと進化論の哲学』ダーウィンと進化論の哲学 (科学哲学の展開)作者: 横山輝雄,日本科学哲学会出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2011/06/22メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 354回この商…

「人生の意味」になぜ悩むのか? 進化論が答える

という趣旨の論文を読んだので紹介*1。欧米では「哲学=人生の意味に悩む」というのはステレオタイプ的な哲学の見方としてある*2が、なぜわれわれが人生の意味に悩むのかということを進化論の観点から議論した論文。著者の議論は次のようになる。ヒトはその…

ありがとうございます!

帰り道、地下鉄のホームで、見覚えのあるカバーの本を読んでいる人がいた。なんと『進化論はなぜ哲学の問題になるのか』!!!! 私が編集担当した本ではないですか! 初めて電車で自分が関わった本を読んでいる人をみかけた!!! しかもそれがこの本とは! ありが…

ウォレスの「知性の自然選択による進化」否定論

前に述べたようにウォレスは人間の知性(の少なくとも一部)が自然選択によって進化したことを否定する。ここでは彼の議論をDarwinismの最終章に沿って整理してみる(なお訳書は以下だが、わたしは読んでいません)。ダーウィニズム―自然淘汰説の解説とその…

なぜ環境問題を考えても経済成長は望ましいのか

経済学という教養 (ちくま文庫)作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/07/09メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 256回この商品を含むブログ (73件) を見るを読んでいて表題について書いてあったのでメモ。著者は環境問題を考慮したときの…

震災雑感

震災の後いろいろ考えは浮かんだのですが、わたしの頭に浮かぶことと言えばほんっっっとに凡庸なことしかなかったのです。ただ一つだけあまり言われていないことがあったので雑感として。 *この震災で日本社会についてわかったことの一つは、メディアでいわ…

ぼくはこんな本を読んできた(ここ一ヶ月で)2

人間性はどこから来たか―サル学からのアプローチ (学術選書)作者: 西田利貞出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2007/08/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (10件) を見るヒトの進化についての教科書。記述がやや個性的。人とサ…

ぼくはこんな本を読んできた(ここ一ヶ月で)

引っ越し後日本語の本を読む機会が増えたので、ここ最近読んだ本の感想を三〜十行で。脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ作者: ゲアリーマーカス,鍛原多惠子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/01/01メディ…

近況

と、いうことで、新しい地にも慣れてきましたので、よろしくお願いします。

スティッチ:「理性の自然選択」説の困難

クワインとソーバーは、全体としてヒトの理性が自然選択によって進化してきたというシナリオに好意的な立場だった。これに対してスティッチはThe Fragmentation of Reason: Preface to a Pragmatic Theory of Cognitive Evaluation (MIT Press)作者: Stephen…

お知らせ:リスポンスが遅くなります

なおこれから、転居のため当面の間インターネットにつながりにくくなります。つきましてはコメントなどのリスポンスが遅くなりますので、ご了承ください。Thank you for your patienceです。

学位論文のダウンロード

先日お知らせした学位論文の件ですが、無事学位論文 "The Persistence Question of the Species Problem" (「種問題の存続という問い」)を大学に提出し、大学のサイトでダウンロードできるようになりました。こちらからダウンロードしてください(pdfファ…