まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

英語の固有名詞の発音の表記に迷ったときに

https://youglish.com/ 英単語の発音をその単語が実際に発音されているYouTubeのビデオから取り出してくることで教えてくれるサイト。固有名詞の発音を知りたい時には便利そう。

授業のためにどのくらい・どういう準備をしているか

以前「年収160万円」からの脱出、還暦を機に大学教授を目指してみたという記事が話題になった。これは色々突っ込みどころがある記事だが(その続編を見ると著者はたぶんわかってやっていると思う)、一つ気になったのはこういうところだ。 近々の世界の経済…

研究不正に関する本、四冊

授業で教えるために研究不正についての本をいくつか読んだので紹介。背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?作者: ウイリアム・ブロード,ニコラス・ウェイド,牧野賢治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/20メディア: 新書この商品を含むブロ…

研究資金の減少は、税金の無駄使いを加速している

Scientific AmericanのポッドキャストでRichard Harrisのインタビューをしていた。彼はNPRの科学リポーター(science correspondent)で、Rigor MortisRigor Mortis: How Sloppy Science Creates Worthless Cures, Crushes Hope, and Wastes Billions作者: R…

アブストラクト・イントロダクションの書き方

最近アブストラクトやイントロダクション*1を書くときに使っている公式があるのでメモ。これはカナダや日本で学生のエッセイをいろいろ見た経験から抽出したものなのである程度汎用性があると思う。その公式とは、イントロは以下の(最高)五つの項目につい…

米保守派の研究費たたき

最近あった保守派からの科研費批判だが、米国でも保守派の政治家が科学者の研究費を批判することはよく見られる。たとえばジョン・マケインが共和党の予備選挙の運動でYouTubeに出た時にはモンタナのクマのDNAの研究を批判している(1分50秒ぐらいから)。 y…

外的世界の証明(抄)

授業で使うためにムーアの有名な論文「外的世界の証明」(pdfファイル)のキモとなるところの翻訳を作ったのでご笑覧ください。 例えば、わたしは今、二本の人間の手があることを証明できる。どうやってか。それは二つの手を上げて、右手でジェスチャーをし…

本が出ます

気がつけば二年近く更新がなかったこのブログですが、何もやっていなかったわけではありません。たとえば以下のようなことがありました。 ギゲレンツァについての論文が欧米誌に掲載されました。 種概念についての論文が欧米誌に掲載されました。 博士論文が…

家事分担の進化ゲーム

家事分担は結婚している夫婦の間で頻繁に問題になる事柄の一つだ。家事の負担は多くの場合妻に偏っており、妻はそれに不満を感じていることが多い。これは女性がフルタイムの仕事を持つことが例外ではなくなった現在でもそうだ。どうしたこういうことが生じ…

そもそも重大な問題とは書かれていない

時事問題には反応しないことにしているが、誰も指摘する人がいないので。be動詞など中学レベルの指導をしていた大学が文部科学省から注意を受けたという朝日新聞社のニュースサイトの記事が話題だ。これは文科省の「設置計画履行状況等調査の結果等について…

才能が必要と考えられている分野ほど女性研究者の比率が低い

という論文が「サイエンス」誌に掲載された(リンク)。STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)といういわゆる「理系」の分野では、研究者に女性が占める割合が低いといわれてきた。また社会科学系・人文系の分野でも女性研究者の比率が少な…

冗談と哲学

正月休みの間に留学時にPlato and a Platypus Walk into a Bar . . .: Understanding Philosophy Through Jokes作者: Thomas Cathcart,Daniel Klein出版社/メーカー: Penguin Books発売日: 2008/06/24メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見ると…

哲学専攻は経済的に見合う投資である

と主張する記事があったので紹介。この記事では、PayScaleというサイトの調査を元に、アメリカの大学の学部卒業生を対象にして(したがって大学院に入学した人は入っていない)、専攻によって卒業後の収入がどのくらいになるか、また高卒で社会人になった場…

人種と知能(2)

さて引き続き人種と知能についてだが、今回はニコラス・マッキントッシュが書いた知能についての入門書であるIQ and Human Intelligence作者: N. J. MacKintosh出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2011/04/30メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリッ…

さて

最近こういう仕事もすることになりましたので、よろしくお願いいたします。

最近のお仕事

さて、前にこういうことを述べていましたが、このたび某契約をすることなしにわたしの論文が海外の雑誌に掲載されることになりました。これからもどうぞよろしくお願いします。

人種と知能(1)

知能の勉強を細々と続けているが、この分野でいつも大きな議論になるのが、人種と知能の関係だ。このテーマはきちんとしたリサーチに基づかないことをうっかり述べてしまうと影響がきわめて大きいので、現在の研究でどういうことがわかっているのか(わかっ…

Krashenの議論

第二言語習得論の勉強を続けている関係で、Stephen Krashenの"Principles and Practice in Second Language Acquisition"(pdf)を読んでいるが、第二章で自分の仮説をサポートする仕方が雑すぎる。Krashenはこの章で第二言語学習に関するいくつかの有名な仮…

どういうときに創造的なアイデアが浮かぶか

ということをコンピュータ科学を例にしてThagardと共著者がここで書いている。この論文ではCrossroadsというACM (Association for Computing Machinery、コンピュータ科学分野の国際学会)が発行している学生のためのオンライン雑誌に掲載されたコンピュータ…

How Languages Are Learned:第二言語習得理論について

前のエントリ、つまりHow Languages Are Learned (Oxford Handbooks for Language Teachers)作者: Patsy M. Lightbown,Nina Spada出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2013/03/21メディア: ペーパーバック クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見…

How Languages Are Learned:早期教育について

How Languages Are Learned (Oxford Handbooks for Language Teachers)作者: Patsy M. Lightbown,Nina Spada出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2013/03/21メディア: ペーパーバック クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見るを読んだ。これは欧…

なぜ・何を・どうやって科学者に科学哲学を教えるのか

という論文を読んだ(リンク)。著者はスウェーデンの科学哲学者で、科学哲学が科学者及びその卵である理系学生に貢献できる理由と方法について書いてある論文だ。 なぜ教えるのか 科学者やその卵である理系の学生にに科学哲学を教えるべき理由として、著者…

日本人なら必ず誤訳する英文

越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 (ディスカヴァー携書)作者: 越前敏弥出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2013/01/11メディア: 新書購入: 20人 クリック: 165回この商品を含むブログ (52件) を見るを読んだ。翻訳家として活躍…

p値よりも信頼区間を

とLaTrobe大学の心理学者Geoff Cummingsが以下の動画で述べている。心理学では(もちろん心理学だけではないが)ある仮説を検証するときによくp値を用いる。これは帰無仮説が正しいとしたときに手元の標本統計量が得られる確率である。この値が0.05というマジ…

廉価版を買うかグレードアップ版を買うか

わたしが買い物をするときに頻繁に直面する意思決定問題の解決法を考えたので備忘のためにメモ。 問題の状況 ある種類のものを買いたいと思っている。それには廉価版とグレードアップ版があり、後者の方が品質・機能は勝っているが値段がそれに応じて高い。…

研究のコスト・リターン・リスク

千住淳氏の社会脳とは何か (新潮新書)作者: 千住淳出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/08/10メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見るを読んでいると、研究のポートフォリオという考え方が書かれてあって少しおもしろかったので紹介(199ff.)。科学…

科学、科学の哲学、自然の哲学

生物学の哲学者Peter Godfrey-SmithがDarwinian Populations and Natural Selection作者: Peter Godfrey-Smith出版社/メーカー: Oxford University Press, U.S.A.発売日: 2011/05/15メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見るの冒頭で、科学と科学…

自然を名付ける

自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか作者: キャロル・キサク・ヨーン,三中信宏,野中香方子出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2013/08/28メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る分類学の歴史を、人間が地…

免許をとる時に役立ったものメモ

4月から北海道に住むようになっていきなり必要になったのがクルマの免許。わたしの住むところは都会に比べて公共交通機関が圧倒的に発達していないので、クルマがないと職場←→自宅の往復以外の人生を送ることができない。ということで4月から自動車学校に通…

新米英語教師が見た本

四月から勤務先の大学で英語の授業を始めるに当たって参考にした本の紹介。まず手っ取り早く役に立ったのが次の本だ。高校英語授業を変える! 訳読オンリーから抜け出す3つの授業モデル (アルク選書シリーズ)作者: 金谷憲,高山芳樹,臼倉美里,大田悦子出版社/…