まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

百崎監督はなぜすぐれた監督か、「xとはどういうことか」の知

百崎監督はよい監督だろう。公立校から甲子園で優勝するというのは、よい監督でなければなかなかできることではない。しかしこの記事を読んで、百崎監督がなぜよい監督なのかわかった気がした。

 百崎敏克監督(51)は「9回2死になって、決勝なんだとドキドキしました」と目を細めた。前任の佐賀・神埼(かんざき)高の01年春夏甲子園出場の経験を生かし、常に甲子園を意識させてきた。「荷物を置いた瞬間からノックが始まるから取り掛かりを早くとか、お客さんはこんな感じだとか。ピンと来ない様子だった」。地元中学の軟式出身者だけの選手に全国の感覚を身につけさせ、テスト前に9時間の勉強会を行うなど集中力も養った。

http://highschool.nikkansports.com/sensyuken/2007/p-hb-tp1-20070822-0002.html

ここで百崎監督が行っているのは、選手に対して目標をはっきりさせ、常にそれを意識させることである。しかし、たんにそれだけではなく、高いステージの場に立つ(この場合、甲子園で試合をする)とはどういうことかを理解させようとしている。これは、水泳で泳者を機械の力を借りて、より早く泳いだときにどういうことが起こるかを体験させるという、かなり効果があるとされる練習を思い起こさせる。あるいは大学受験で志望校のキャンパスに行く、というのも同じことだろう。つまり、what x isの知(何が目標か)だけでなく、what x is likeの知(目標となるステージに立つとはどういうことか)をもたせることが有効ということ。なお、これの有効性は少なくとも二つあって、ひとつはモチベーションの向上(今自分がいる状態がどのように一段高いステージとつながっているか、具体的に理解できる)。もうひとつは実際にその場に立ったときの対応力の向上である。

※(Sep.6)論旨を明確にするよう書き直しました。