この記事を読んで、安倍さんは自分に向けられたポジティブなメッセージを自分の都合のよいように受け取りがちなのでは、と思った。
安倍首相は30日、2010年の国会で憲法改正案の発議を目指すとした自民党の参院選公約に関し、「(憲法改正の手続きを定めた)国民投票法が成立した。この3年間、国民と共に新しい憲法について広く、深い議論をしていかねばならないとの考えは変わらない」と述べ、公約を堅持する意向を表明した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070830ia24.htm
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首相が今回、憲法改正の公約堅持の意向を表明したのは、改造内閣発足後に内閣支持率が上昇し、態勢立て直しに手応えを得たためと見られる。
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今回のポジティブなメッセージは「支持率の向上」で、それを安倍さんは「憲法改正方針への支持」(これが安倍さんの一番やりたいこと(の少なくともひとつ)だ)と受け取っている。しかし、ちょっとそうは思えない。
もしかして、安倍さんはこう思っているのかもしれない。
前提1. 安倍政権への支持率が上がった。
前提2. 時の政権への支持率が上がるのは、その政権の首相がもっともやりたいことに国民の支持があるときに限る。
前提3. 安倍さんのもっともやりたいことは憲法の改正である。
結論 したがって、憲法の改正に国民の支持がある。
しかし、2.はたぶん正しくない。たとえば、その政権の首相がもっともやりたいことに国民の支持がなくても、直近の緊急性のある問題の対処の仕方・方針が国民に支持されている場合もあるだろう。
また、わたしの知る限りでは、今回の内閣改造で憲法改正が中心課題として話題になったことはなかった。話題になったことがなかったことに国民が支持を示すというのは、率直に言って考えにくい。
安倍さんが自分に向けられたポジティブ・メッセージを自分の都合のよいように受け取ったのはこれがはじめてではない。
安倍が一時、参院選を「政権選択」と取られかねない位置づけにしたのは、国会での小沢との党首討論で、「直接対決では負けない」との自信を深めていたからだ。各種世論調査で自民党の獲得議席が40議席を割るとの観測が強まっても、安倍は投票日直前まで「過半数は無理でも、40議席台は獲得できる」との見方を示していた。
「最後の3日間で行ける。そういう雰囲気だ」
安倍は選挙戦終盤、周辺に選挙戦の「手応え」を強調して見せた。
「動員が数百人程度しかなかったはずの場所に、何千人も集まってくれた。熱狂的だった」
安倍は聴衆の雰囲気が変わった理由を、「あまりにも自民党が負けるという報道ばかりだから反作用が出ている」と分析。官邸内でも、安倍の見立てに異を唱える声は少なく、不思議な「楽観論」が漂っていた。
憔悴の首相、最後まで楽観論…見立ての甘さが痛撃 : ニュース : 参院選2007 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ここでも安倍さんは聴衆からのメッセージを自分の都合のよいように受け取ってしまっている感じだ。