まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

震災雑感

震災の後いろいろ考えは浮かんだのですが、わたしの頭に浮かぶことと言えばほんっっっとに凡庸なことしかなかったのです。ただ一つだけあまり言われていないことがあったので雑感として。

                     *

この震災で日本社会についてわかったことの一つは、メディアでいわれるほど日本では階層間の亀裂がそれほど深刻ではないということではないか。

これは、震災後に略奪などの大規模な人為的社会秩序の崩壊が起こらなかったことで示唆される。これは震災後の日本人の行動として特筆すべきこととして海外メディアに取り上げられており、多くの人はこれを日本人の美徳から説明している。しかし特に関東大震災でのデマのことを考えると、これは妙な説明である。日本人が災害時にいつも冷静に行動してきたというわけではないからだ。

むしろ略奪が生じなかったことは、日本社会が他の国よりももう少し一枚岩であることから説明できるかもしれない。この手の略奪が生じる大きな要因の一つは、社会の中に社会経済・人種階層間の亀裂があるときで、アメリカなどで暴動が起こるのはそれが原因だ。人種間の差別があって、被支配者層に不満がたまっている。そうした鬱屈は日常的には警察などによって抑えられているが、それが災害などで社会秩序が保てないときに爆発するのが---単純に言うと---略奪や暴動だ。

今回の震災でそうしたことが生じなかったということは、これは現在の日本社会(あるいは東北だけかもしれないが)の中の階層間の亀裂がそれほど深刻ではないことを示しているだとおもう。

【追記】とgdgd書いてきたことをColbert Reportが簡潔に示しているのでリンク