まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

21世紀の哲学教科書

授業準備のために最近

Philosophy: Asking Questions - Seeking Answers

Philosophy: Asking Questions - Seeking Answers

を買ってめくっているが(H/T @kasa12345)、細かいところで工夫があって、21世紀の哲学教科書という感じがする。具体的には以下のような点で工夫を感じた。

  • 冒頭で「哲学は我々の生活に関係している」として、菜食主義の例が挙げられている。
  • また冒頭2ページ目で、この本は西洋哲学しか扱わないことを宣言し、のみならず中国哲学インド哲学などの世界の哲学の入門書を紹介している。
  • エリーザベト3世(ボヘミアのエリザベス)やスーザン・ウルフ、ルース・ベネディクトのような女性の哲学者・研究者を比較的大きく取り上げている。
  • 文中の例で出てくる名前がTomやFredといった西洋式の名前だけでなく様々な文化圏で見る名前が取り入れられている。例えばAshni(ヒンドゥー系)、Mehdi(アラブ系)、Mei(日本系)、Chang(中国系)などバラエティに富んでいる。
  • 「知識とは何か」という章ではゲティア事例の扱いが比較的小さい。
  • 附録で哲学専攻の有名人や哲学専攻者の卒業後の年収を紹介して、哲学を勉強することの俗世間的利益を強調している。
  • 近世の哲学者の原典を引用・参照するときには文字通りの原典ではなくてEarly Modern Textsを挙げている。