まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

給付つき税額控除の実際

最近話題の給付つき税額控除について、この制度を導入しているカナダで実際に還付をうけた側からの体験談。

カナダの消費税は、連邦政府の消費税と州ごとの消費税に分かれている。連邦政府の消費税はGST(Goods and service tax)と呼ばれ、税率は現在5%(元々は7%だったが、保守党に政権が代わってから1%ずつ下げた)。

州ごとの消費税は、わたしの住んでいるブリティッシュ・コロンビア州では先月まではPST(provincial sales tax)と呼ばれ7%だったが、今月からHST(Harmonized sales tax)と名前が変わり、GSTを統合して13%になった(したがって州の取り分は7%から8%に増えた)。*1

すると、消費税だけで見ると逆進性が出てくるので、(わたしのような)収入の低い人は消費税の還付ができる。還付の申し込み自体は非常に簡単で、納税をするときの書類(写真---わたしの納税書類の一ページ目)の下にある"Goods and services tax/harmonized sales tax (GST/HST) credit application"という欄にチェックを入れるだけ。レシートの保管などはまったく必要ない。

そうすると、年に何回か、銀行口座に還付金が振り込まれる(小切手でもらうこともできる)。いま調べると昨年度は年四回約100ドルずつ振り込まれていた(この金額はたぶん収入に応じて異なる)。すると8000ドル分の消費のGSTが相殺される計算になる。これは少ないように見えるかもしれないが、GST(およびPST・HST)にはいろいろと軽減税率があって、例えば野菜などの食料品の多くは非課税になっているので、家賃や家電を除けば、わたしはそれほどGSTのかかる消費をしているわけではない。


ただし、還付それ自体については手間という面ではたいしたことがないが、そのためには納税の手続きをしなくてはいけないので、その手間はかかる。たとえばわたしがはじめて納税の手続きをしたときは、2〜3日ほどかかった記憶がある。とはいえ、毎年同じ書類を書くと慣れてくるので、時間は大幅に短縮できる(今年の書類を書くのにかかった時間は2〜3時間)。またこうした書類は当然英語なので、もし日本語で同じ書類を書くなら、もう少し時間は短縮できるだろう。もちろん全部自力でやる必要はなく、コンピュータで税金を計算できるソフトウェアを買う人もいる。

もう一つのポイントは、迅速な処理のために社会保障番号の導入もされていること(写真の右上、social insurance number)。これは仕事をする人は全員持っていて、これを使って収入などが捕捉されている(これはカナダ市民もわたしのような外国人も同じ)。このSINはちょう大事な番号で、健康保険や銀行の口座申し込みなど公的な申し込みをするときにはいつも必要になる。

まとめると、

  • カナダの消費税の還付手続きは(消費者の側から見ると)簡単である。将来日本政府がこの制度を導入するにしても、レシートの保管が義務づけられることはまずないとおもわれる。
  • ただし、それには確定申告手続きが必要なので、それは手間がかかるかもしれない(ただし、日本が導入するときに還付と申告をセットにするかはわからない)。
  • 還付手続きには社会保障番号の導入がセット。

*1:どうでもよいことだが、自民党マニフェスト(pdfファイル)ではカナダは消費税5%としているが、ほとんどの州で州ごとの消費税があるのでややミスリーディング。というか自民党は消費税アップしたいのだから、他国の消費税率を実体より低く見せてどうするのか。