まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

2020-01-01から1年間の記事一覧

拙著刊行記念オンラインイベントのお知らせ

拙著種を語ること、定義すること: 種問題の科学哲学 出版を記念してオンライントークイベントが行われます。わたしの他の出席者は岡西政典さん新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学 (中公新書 2589)作者:岡西 政典発売日: 2020/04/18メディア: …

「現代ビジネス」に寄稿

拙著プロモーションの一環で、哲学と科学の関係についての小文を「現代ビジネス」に書きました。 gendai.ismedia.jp

本が出ます

師走になりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。さてこのたび単著を出版することになりました。種を語ること、定義すること: 種問題の科学哲学作者:網谷 祐一発売日: 2020/12/15メディア: 単行本この本のテーマは種問題です。分類の基本単位である…

学術会議問題 世論調査まとめ

11月17日更新(14・15日にあった調査の数字および平均値を更新)日本学術会議の問題だが、この1週間ほど、学術会議問題で個人的に憂鬱が続いている。その理由は学問の自由が脅かされたからではない。大学人がいかに国民の支持を得ていないかがは可視化され、…

AIについての三冊

「AI・ロボットの倫理」を扱う授業を行う関係でAI関係の本をいくつか読んだので紹介しよう。わたしが読んだのはAIを自分で作ったり活用する本(例えば機械学習のしくみを学ぶ本)ではなくて、テクニカルな詳細にはたち入らずにAIの歴史やAIの問題を紹介する…

読みやすい文章の書き方:期待をコントロールする

読みやすい文章を書くためのコツは色々とあるが、一つ重要なのは読者の期待(予測)をコントロールすることである。これはどういうことかというと、「これからわたしがどういうことを・どういうやり方で語るか」ということが読者にわかるように書いていくこ…

陰謀論と政治

陰謀論を扱った二つのポッドキャストを聞いた。一つは陰謀論と政治に関わるFivethirtyeight(FTE)のポッドキャストで、もうひとつは地球平面説を扱ったScientific Americanのポッドキャスト。このうちだと前者の方が紹介する内容が多いので、以下ではFiveth…

コンピュータのしくみ・歴史についての五冊

わたしはコンピュータ科学の学部に勤めているので、科学史の授業でコンピュータ史を扱った。わたしはコンピュータの歴史やしくみには全くの素人だったので、その際にそこそこに本を読まなくてはならなかった。その中から役に立ちそうなものものを紹介する。…

研究者のためのメンタルヘルスマネジメント:7つのコツ

という記事が『ネイチャー』に載っていたので簡単に紹介。著者はスペインの臨床心理学者。書いてあることはそれほど目新しいことではないかもしれないが、現下の状況でここで確認・共有することには意義があるだろう。 期待を下げる:授業がなくなった大学に…

「パンデミック時のニュートン」からの教訓

新型コロナウイルスの流行で多くの学校が閉鎖されている。しかしそうしたことの予期せざるよい面を見ようとして、ニュートンのエピソードが話題になることがある。曰く ニュートンが微積分法、光と色の新しい理論、および万有引力の理論という大きな発見をし…

エルンスト・ヘッケルの研究不正

エルンスト・ヘッケル(1834-1919)の研究不正の事例について科学史の授業のためにいくつか論文を読んだが、授業ではほとんど使わなかった(二枚スライドを作っただけ)ので、またこの事例は日本語で検索してもあまり記述が出てこないので、ここでメモ。ヘッ…

科学者の歴史についての四冊

教えている「科学史」の授業で、どのようにして科学者が今のようなあり方になってきたのかについて講義した(専門用語では「科学の制度化」という)ので、その準備に使った四冊を紹介。科学の真理は永遠に不変なのだろうか (BERET SCIENCE)作者:中根 美知代,…

道標が大切

最近は論文のドラフトなどを読む機会が多くなっているが、そこで気になることの一つは道標(サインポスト)がないために読みにくくなっている文章が多いことだ。サインポストというのは、これから書く文章についてのメタレベルからの説明である。例えば「こ…