メモ

授業のためにどのくらい・どういう準備をしているか

以前「年収160万円」からの脱出、還暦を機に大学教授を目指してみたという記事が話題になった。これは色々突っ込みどころがある記事だが(その続編を見ると著者はたぶんわかってやっていると思う)、一つ気になったのはこういうところだ。 近々の世界の経済…

研究資金の減少は、税金の無駄使いを加速している

Scientific AmericanのポッドキャストでRichard Harrisのインタビューをしていた。彼はNPRの科学リポーター(science correspondent)で、Rigor MortisRigor Mortis: How Sloppy Science Creates Worthless Cures, Crushes Hope, and Wastes Billions作者: R…

アブストラクト・イントロダクションの書き方

最近アブストラクトやイントロダクション*1を書くときに使っている公式があるのでメモ。これはカナダや日本で学生のエッセイをいろいろ見た経験から抽出したものなのである程度汎用性があると思う。その公式とは、イントロは以下の(最高)五つの項目につい…

そもそも重大な問題とは書かれていない

時事問題には反応しないことにしているが、誰も指摘する人がいないので。be動詞など中学レベルの指導をしていた大学が文部科学省から注意を受けたという朝日新聞社のニュースサイトの記事が話題だ。これは文科省の「設置計画履行状況等調査の結果等について…

Krashenの議論

第二言語習得論の勉強を続けている関係で、Stephen Krashenの"Principles and Practice in Second Language Acquisition"(pdf)を読んでいるが、第二章で自分の仮説をサポートする仕方が雑すぎる。Krashenはこの章で第二言語学習に関するいくつかの有名な仮…

廉価版を買うかグレードアップ版を買うか

わたしが買い物をするときに頻繁に直面する意思決定問題の解決法を考えたので備忘のためにメモ。 問題の状況 ある種類のものを買いたいと思っている。それには廉価版とグレードアップ版があり、後者の方が品質・機能は勝っているが値段がそれに応じて高い。…

免許をとる時に役立ったものメモ

4月から北海道に住むようになっていきなり必要になったのがクルマの免許。わたしの住むところは都会に比べて公共交通機関が圧倒的に発達していないので、クルマがないと職場←→自宅の往復以外の人生を送ることができない。ということで4月から自動車学校に通…

論文は「古畑任三郎」のように書く

先日論文の書き方について浮かんだことがあるのでメモ。それは、論文は『古畑任三郎』のように書くべし、というものだ。古畑任三郎 3rd season 1 DVD出版社/メーカー: フジテレビジョン発売日: 2004/09/15メディア: DVD購入: 1人 クリック: 11回この商品を含…

アタマでごちゃごちゃ考えるよりも

IQ and Human Intelligence作者: N. J. MacKintosh出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2011/04/30メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログを見るを読んでいたところ、こういう実験にぶつかった。*1次の問に答えてみてほし…

一日のどこかで、プロジェクトのことを考える

博士論文を抱えている人に話したアドバイスの中で、ちょっと反応がよかったものがあるのでメモ。博士論文を書くのにはたいがい時間がかかる。一年から二年かかるというのはほとんど短い方の部類だ。そして博士論文を書くという段階に至った人は、「教える」…

科学哲学には何が期待されていて何ができていないのか

『ダーウィンと進化論の哲学 (科学哲学の展開)』について評論家の山形浩生さんから厳しい書評をいただいた(リンク)。すでに他の方が指摘されている通り、あの書評には個々の論文について指摘された「問題点」について事実誤認や的はずれのところがある。他…

別の手段をもってする科学の継続

UCLのHasok ChangがThe Philosophers' Magazineのインタビューで、科学哲学の意義について語っている。Inventing Temperature: Measurement and Scientific Progress (Oxford Studies in the Philosophy of Science)作者: Hasok Chang出版社/メーカー: Oxfor…

なぜ環境問題を考えても経済成長は望ましいのか

経済学という教養 (ちくま文庫)作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/07/09メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 256回この商品を含むブログ (73件) を見るを読んでいて表題について書いてあったのでメモ。著者は環境問題を考慮したときの…

棄権しても世の中は変えられる

選挙がちかくなると、「棄権していては、世の中は変わらない」とか「棄権は現状肯定にすぎない」という意見がよく聞かれる。これは間違っていると思う。というのは投票率(棄権率)はマスコミの関心事であり、政府も投票率を向上させようとするインセンティ…

給付つき税額控除の実際

最近話題の給付つき税額控除について、この制度を導入しているカナダで実際に還付をうけた側からの体験談。カナダの消費税は、連邦政府の消費税と州ごとの消費税に分かれている。連邦政府の消費税はGST(Goods and service tax)と呼ばれ、税率は現在5%(元…

この現象

掲示板などでときどき見る光景。 A氏「なんとかかんとか」 B氏「それはかんとかなんとか」→日本語で議論している C氏「I think blah blah blah」→英語でコメント A氏「But blah blah blah blah blah」→英語で返答。でもC氏は日本語読めるはずなので英語で返…

分析哲学を理解するには意外と訓練がいる

科学や不平等について書かれた某本の訳文についての議論を見た(訳本を批判するのが主題ではないので、訳書にはリンクしません)。そこでの指摘を見る限り、訳の問題には、予備校でやるような英文読解の問題もあったが、哲学のカルチャーや術語の重みがうま…

薬指>小指=人差し指

先日囲碁の藤沢秀行名誉棋聖が亡くなったが、高尾紳路九段のブログに興味深いことが書いてあった: [藤沢]先生の手が、人差し指と 小指の長さが一緒な事に 初めて気がつきました。 (人差し指がかなり短かった) 告別式 - たかお日記 もしこれが正しいとする…

ID論者と議論すべきかそれともあざわらうべきか

ドーキンスのID論に関する以下のコメントがちょっとした話題になっている。抜粋すると I suspect that most of our regular readers here would agree that ridicule, of a humorous nature, is likely to be more effective than the sort of snuggling-up …

ブラーの反進化心理学

※名前の読み方をなおしました。[Apr. 17]YOSOプロジェクト(よく知らないままに思いつきを書くプロジェクト)第二弾(第一弾はこちら)。1月号のScientific Americanはダーウィン特集だが、そのなかでデイヴィッド・ブラーが反進化心理学のエッセイを書いて…

Evo-DevoとDST

最近何回かEvo-DevoとDSTの関係について日本語で書いてあるものを読んだので、今のところの考えをメモ。ただしこのトピックについては今のところリサーチが決定的に足らないので間違いやoversimplificationが入っている可能性が多分にあるので、その点はご注…

「進化論」と「進化学」

進化生物学者の中には「進化論」ということばを嫌って「進化学」を使う人がいる。その理由のひとつとして、こういうものがある。 「進化論」を使うと、「進化論は進化『論』だから、つまり科学ではなく、生物の有り様を説明するための見解のひとつにすぎない…

三中信宏「生物の樹・科学の樹」感想

三中信宏さんの連載「生物の樹・科学の樹」に感想を書きましたので、どうぞご覧ください。(三中さんからのご返答はこちらをどうぞ。なお、このエントリと三中さんの返答で微妙に時間が前後していますが、それはわたしがこのエントリをアップする前に三中さ…

ジンマーの種についての記事

前に書いたジンマーの種についての記事だが、彼のウェブサイトで全文が読めるようになっている。全体の構成は 種という概念の実践的な意味(保全など) 生物学的種概念BSC 系統学的種概念PSC デ=ケロズ(DeQueiroz)およびテンプルトン(Templeton)の考え …

パーフィットと種問題

振られた(?)からには、ぼけるのが関西人。 そういえばパーフィット流還元主義は生物学的種概念の論争にも 応用可能じゃないかと昔から思っているのだがちゃんと比べてみた人はいないのかな。 ちょっと検索した感じではひっかかってこない。[6月12日の記事] h…

ジンマーの〈種〉記事をめぐって

もうすぐ日経サイエンスにでる予定のジンマーの種についての記事だが(翻訳者の三中信宏さんの日記で進行状況を確認できる)、元ネタであるScientific Americanの記事(今はまだ無料では読めないが、そのうち読めるようになると思う)読みました。(Jul.8th)…

説明からの反実在論

日本の生物学者の間である程度受け入れられていると思われる種の反実在論に、以下のようなものがある。 [H1] P1) 種という概念は進化生物学の説明において必要ではない。 C) したがって、種は実在しない。 ここで、P1とはどういう主張だろうか? これは「進…

「もっともよい種概念は何か」と問う誤り

種問題について思いついたことがあるのでメモ。種問題を表す一つの仕方は「種はどういう自然種(natural kind)か」というものである。そしてご存じの通り、20以上の種概念が提起されている訳である。たとえば、John Wilkinsのまとめによると、現在提起され…

『知識の哲学』あら探し

『知識の哲学』を(例によってTAの仕事に関連する部分について)読んだ。知識の哲学 (哲学教科書シリーズ)作者: 戸田山和久出版社/メーカー: 産業図書発売日: 2002/06/20メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 75回この商品を含むブログ (66…

羽生は新手を指したのか〜将棋の哲学(?)

旧聞に属することだが、こちらとこちらのブログでちょっと面白いことが書いてある。(後日談がここにもある)まとめると、今年四月の将棋の「朝日オープン将棋選手権」第一局で、羽生三冠(棋士の肩書きはすべて対局当時、以下同じ)が以下の局面から▲54歩と…