まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

科学的態度の重要性と科学否定論者との対話

(タイトルなどはAIに考えてもらいました)最近ほとんどエントリを書けていませんが、多少は仕事をしておりまして、本日監訳をした書籍が出版になります。「科学的に正しい」とは何か (ニュートン新書)作者:リー マッキンタイアニュートンプレスAmazonこれは…

新刊(共著本)のご案内

論文を寄稿した本が刊行されました。Species Problems and Beyond (Species and Systematics)CRC PressAmazonわたしの章ではこれまで刊行した拙論の議論を踏まえて「種問題がどこまで重要か」という問いを提起しています。ご笑覧ください。

『動物意識の誕生』の書評

本日発売の『図書新聞』に『動物意識の誕生 上: 生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化』の書評を書きました。

『現代思想』誌「進化論の現在」は看板倒れ

『現代思想』誌2021年10月号は「現代思想 2021年10月号 特集=進化論の現在 ―ポスト・ヒューマン時代の人類と地球の未来―」と題された特集だった。わたしはこの特集全体の企画意図に問題があると考えるので、手短に述べたい。わたしの不満は一言で言うと「こ…

拙著記念オンラインイベントのアーカイブ販売

拙著『種を語ること、定義すること: 種問題の科学哲学』について以前岡西政典さん・三中信宏さんと行った本屋B&Bでのオンラインイベント の画像と音声のアーカイブ販売が行われています(8月末まで)。bookandbeer.com 写真はB&Bさんでの販売棚です。ご興味…

『種を語ること、定義すること』発売中

新著が好評発売中です。種を語ること、定義すること: 種問題の科学哲学作者:祐一, 網谷発売日: 2020/12/15メディア: 単行本

本が出ます

師走になりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。さてこのたび単著を出版することになりました。種を語ること、定義すること: 種問題の科学哲学作者:網谷 祐一発売日: 2020/12/15メディア: 単行本この本のテーマは種問題です。分類の基本単位である…

AIについての三冊

「AI・ロボットの倫理」を扱う授業を行う関係でAI関係の本をいくつか読んだので紹介しよう。わたしが読んだのはAIを自分で作ったり活用する本(例えば機械学習のしくみを学ぶ本)ではなくて、テクニカルな詳細にはたち入らずにAIの歴史やAIの問題を紹介する…

コンピュータのしくみ・歴史についての五冊

わたしはコンピュータ科学の学部に勤めているので、科学史の授業でコンピュータ史を扱った。わたしはコンピュータの歴史やしくみには全くの素人だったので、その際にそこそこに本を読まなくてはならなかった。その中から役に立ちそうなものものを紹介する。…

科学者の歴史についての四冊

教えている「科学史」の授業で、どのようにして科学者が今のようなあり方になってきたのかについて講義した(専門用語では「科学の制度化」という)ので、その準備に使った四冊を紹介。科学の真理は永遠に不変なのだろうか (BERET SCIENCE)作者:中根 美知代,…

酸素の発見についての四冊

「科学史」の授業のために酸素の発見史についていくつか読んだので、その感想。ただし酸素の発見史に一冊すべて充てている本は日本語ではないと思うので、以下の感想は「化学史の入門書の中で酸素の発見史の部分に関するもの」ということになる。化学史への…

瀧本哲史著『ミライの授業』のメンデルの記述は大幅に間違っている

高校生に出張授業をする準備のために『ミライの授業』[isbn:4062200171:detail]という本を読んだ。 しかしこの本のメンデルにかんする部分(204-210頁)は大幅に間違っている。著者はメンデルについて次の三つのことを述べている。

21世紀の哲学教科書

授業準備のために最近Philosophy: Asking Questions - Seeking Answers作者: Stephen Stich,Tom Donaldson出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2018/08/10メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見るを買ってめくっているが(H/T @kasa12345)…

齋藤孝「質問力」

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)作者: 斎藤孝出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/03/10メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 43回この商品を含むブログ (86件) を見るを読んだ。よい質問をするための方法を教える本。著者はこれからの社会を生き抜くためにはコ…

研究不正に関する本、四冊

授業で教えるために研究不正についての本をいくつか読んだので紹介。背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?作者: ウイリアム・ブロード,ニコラス・ウェイド,牧野賢治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/20メディア: 新書この商品を含むブロ…

研究資金の減少は、税金の無駄使いを加速している

Scientific AmericanのポッドキャストでRichard Harrisのインタビューをしていた。彼はNPRの科学リポーター(science correspondent)で、Rigor MortisRigor Mortis: How Sloppy Science Creates Worthless Cures, Crushes Hope, and Wastes Billions作者: R…

本が出ます

気がつけば二年近く更新がなかったこのブログですが、何もやっていなかったわけではありません。たとえば以下のようなことがありました。 ギゲレンツァについての論文が欧米誌に掲載されました。 種概念についての論文が欧米誌に掲載されました。 博士論文が…

冗談と哲学

正月休みの間に留学時にPlato and a Platypus Walk into a Bar . . .: Understanding Philosophy Through Jokes作者: Thomas Cathcart,Daniel Klein出版社/メーカー: Penguin Books発売日: 2008/06/24メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見ると…

人種と知能(2)

さて引き続き人種と知能についてだが、今回はニコラス・マッキントッシュが書いた知能についての入門書であるIQ and Human Intelligence作者: N. J. MacKintosh出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2011/04/30メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリッ…

人種と知能(1)

知能の勉強を細々と続けているが、この分野でいつも大きな議論になるのが、人種と知能の関係だ。このテーマはきちんとしたリサーチに基づかないことをうっかり述べてしまうと影響がきわめて大きいので、現在の研究でどういうことがわかっているのか(わかっ…

How Languages Are Learned:第二言語習得理論について

前のエントリ、つまりHow Languages Are Learned (Oxford Handbooks for Language Teachers)作者: Patsy M. Lightbown,Nina Spada出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2013/03/21メディア: ペーパーバック クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見…

How Languages Are Learned:早期教育について

How Languages Are Learned (Oxford Handbooks for Language Teachers)作者: Patsy M. Lightbown,Nina Spada出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2013/03/21メディア: ペーパーバック クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見るを読んだ。これは欧…

日本人なら必ず誤訳する英文

越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 (ディスカヴァー携書)作者: 越前敏弥出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2013/01/11メディア: 新書購入: 20人 クリック: 165回この商品を含むブログ (52件) を見るを読んだ。翻訳家として活躍…

研究のコスト・リターン・リスク

千住淳氏の社会脳とは何か (新潮新書)作者: 千住淳出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/08/10メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見るを読んでいると、研究のポートフォリオという考え方が書かれてあって少しおもしろかったので紹介(199ff.)。科学…

科学、科学の哲学、自然の哲学

生物学の哲学者Peter Godfrey-SmithがDarwinian Populations and Natural Selection作者: Peter Godfrey-Smith出版社/メーカー: Oxford University Press, U.S.A.発売日: 2011/05/15メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見るの冒頭で、科学と科学…

自然を名付ける

自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか作者: キャロル・キサク・ヨーン,三中信宏,野中香方子出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2013/08/28メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る分類学の歴史を、人間が地…

免許をとる時に役立ったものメモ

4月から北海道に住むようになっていきなり必要になったのがクルマの免許。わたしの住むところは都会に比べて公共交通機関が圧倒的に発達していないので、クルマがないと職場←→自宅の往復以外の人生を送ることができない。ということで4月から自動車学校に通…

新米英語教師が見た本

四月から勤務先の大学で英語の授業を始めるに当たって参考にした本の紹介。まず手っ取り早く役に立ったのが次の本だ。高校英語授業を変える! 訳読オンリーから抜け出す3つの授業モデル (アルク選書シリーズ)作者: 金谷憲,高山芳樹,臼倉美里,大田悦子出版社/…

『進化論の射程』第二刷出来

皆様にご愛顧いただいていおりますソーバー先生の進化論の射程―生物学の哲学入門 (現代哲学への招待Great Works)作者: エリオットソーバー,Elliott Sober,松本俊吉,網谷祐一,森元良太出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2009/04/01メディア: 単行本購入: 9人 ク…

一年生ゼミ用図書(予定)

春から一年生のためのゼミを担当することになり、そこで使えそうな本をいくつか読んでみたので、簡単にレビュー(ただしわたしの所属学科は経済・経営系なので、それを前提として読んで下さい)。 新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)作者: …