まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

2019-01-01から1年間の記事一覧

酸素の発見についての四冊

「科学史」の授業のために酸素の発見史についていくつか読んだので、その感想。ただし酸素の発見史に一冊すべて充てている本は日本語ではないと思うので、以下の感想は「化学史の入門書の中で酸素の発見史の部分に関するもの」ということになる。化学史への…

研究費の配分をクジで決める

研究費の配分を(一部)くじで決めているという『ネイチャー』誌の記事を読んだ。これを行っているのはニュージーランドの健康科学評議会(Health Research Council of New Zealand)という政府の組織で、2015年にくじを導入した。くじで研究費の配分を決め…

"I insist that ..."は「わたしは・・・と主張する」ではない

日本語の哲学の論文を読むと、英語の要約部分で結構な確率で「I insist that p」が使われているのを目にする。例えばciniiで"I insist that"で検索すると、500件ぐらいヒットする。英和辞書を読むとinsist that pは「~と主張する」と書いてあるので、著者の…

瀧本哲史著『ミライの授業』のメンデルの記述は大幅に間違っている

高校生に出張授業をする準備のために『ミライの授業』[isbn:4062200171:detail]という本を読んだ。 しかしこの本のメンデルにかんする部分(204-210頁)は大幅に間違っている。著者はメンデルについて次の三つのことを述べている。

21世紀の哲学教科書

授業準備のために最近Philosophy: Asking Questions - Seeking Answers作者: Stephen Stich,Tom Donaldson出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2018/08/10メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見るを買ってめくっているが(H/T @kasa12345)…

齋藤孝「質問力」

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)作者: 斎藤孝出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/03/10メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 43回この商品を含むブログ (86件) を見るを読んだ。よい質問をするための方法を教える本。著者はこれからの社会を生き抜くためにはコ…

英語の固有名詞の発音の表記に迷ったときに

https://youglish.com/ 英単語の発音をその単語が実際に発音されているYouTubeのビデオから取り出してくることで教えてくれるサイト。固有名詞の発音を知りたい時には便利そう。

授業のためにどのくらい・どういう準備をしているか

以前「年収160万円」からの脱出、還暦を機に大学教授を目指してみたという記事が話題になった。これは色々突っ込みどころがある記事だが(その続編を見ると著者はたぶんわかってやっていると思う)、一つ気になったのはこういうところだ。 近々の世界の経済…

研究不正に関する本、四冊

授業で教えるために研究不正についての本をいくつか読んだので紹介。背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?作者: ウイリアム・ブロード,ニコラス・ウェイド,牧野賢治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/20メディア: 新書この商品を含むブロ…

研究資金の減少は、税金の無駄使いを加速している

Scientific AmericanのポッドキャストでRichard Harrisのインタビューをしていた。彼はNPRの科学リポーター(science correspondent)で、Rigor MortisRigor Mortis: How Sloppy Science Creates Worthless Cures, Crushes Hope, and Wastes Billions作者: R…