まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

学術会議問題 世論調査まとめ

11月17日更新(14・15日にあった調査の数字および平均値を更新)

日本学術会議の問題だが、

といった意見を結構見かけたにもかかわらず、世論調査の結果を紹介する人があまり見なかったので、わたしが見た限りの世論調査の結果を表にまとめておく。

対象はわたしがインターネットで「学術会議 世論調査」などで検索して出てきた主な報道機関(NHK共同通信、読売新聞、朝日新聞JNN、ANN、日経新聞テレビ東京)による世論調査。以下の表では質問を三つのカテゴリに分けている。

  • 対応:政府が六人の候補者を任命しなかった対応の是非を聞くもの。例:「政府は、首相が所轄する日本学術会議が推薦した新しい会員候補105人のうち、6人の任命を拒否しました。政府の対応に、納得できますか、納得できませんか。」(読売新聞)
  • 説明:上の任命拒否に関する政府の説明が納得できるか・十分かを聞くもの。例:「「日本学術会議」が推薦した新しい会員の一部を任命しなかったことについて、菅総理大臣は「法に基づいて適切に対応した結果だ」などと説明していることに、どの程度納得できるか」(NHK)
  • 改革:学術会議を行政改革の対象として組織のあり方を見直すとする政府・自民党の方針に賛成かを聞くもの。例:「自民党は、政府からの独立性など、日本学術会議のあり方の見直しに向けた議論を始めました。あなたは、会議のあり方を、見直すべきだと思いますか、思いませんか?」(ANN)

注意

  • ご存じのように世論調査は質問の聞き方によって結果が変わりうるが、インターネット上ではすべての調査のナマの質問を見つけられなかったので、無理矢理まとめている。一部のリンク先にはナマの質問があるので参照して欲しい。
  • 各社の世論調査が方法論的に妥当であることを仮定している。
  • この問題はa developing storyなので、この問題がはじめて明るみに出た10月初旬と下旬では世論自体が変わっている可能性がある。
報道機関 調査期間 質問の種類 結果 URL
JNN 10月3日~4日 対応 妥当だ: 24、妥当ではない:51、答えない・わからない:25 *1
NHK 10月9日~11日 説明 大いに納得できる:10、ある程度納得できる:28、あまり納得できない:30、まったく納得できない:17 *2
読売新聞 10月16日~18日 対応 納得できる:32、納得できない:47、答えない:21 *3
読売新聞 10月16日~18日 改革 評価する:58、評価しない:26、答えない:17
テレビ朝日 10月17日~18日 対応 思う:28、思わない:42、わからない・答えない:30 *4
テレビ朝日 10月17日~18日 説明 納得する:23、納得しない:62、わからない・答えない:15
テレビ朝日 10月17日~18日 改革 思う:64、思わない:13、わからない・答えない:23
共同通信 10月17日~18日 説明 十分:16.1、不十分:72.7 *5
共同通信 10月17日~18日 対応 適切:35.5、不適切だ:45.9
朝日新聞 10月17日~18日 対応 妥当だ:31、妥当ではない:36、その他・答えない:33 *6
朝日新聞 10月17日~18日 説明 十分:15、不十分:57(内閣支持層でも「十分だ」は23)
日経・テレビ東京 10月23日~25日 説明 十分:17、不十分:70(「不十分だ」は自民党支持層でも67%、公明党支持層で9割弱) *7
日経・テレビ東京 10月23日~25日 改革 賛成:62、反対22
毎日新聞 11月7日~7日 対応 問題だ:37、問題だとは思わない:44、どちらとも言えない:18 *8
毎日新聞 11月7日~7日 改革 適切だ:58、適切ではない:24、わからない:18
JNN 11月7日~8日 説明 十分:21、不十分:56、答えない・わからない:23 *9
JNN 11月7日~8日 改革 賛成:66、反対14、答えない・わからない:20
NHK 11月6日~8日 説明 十分だ:17, 十分ではない:62、わからない、無回答:21 *10
NHK 11月6日~8日 改革 適切だ:45、適切ではない:28、わからない、無回答:27
読売新聞 11月6日~8日 説明 納得できる:33、納得できない:56、答えない:11 *11
読売新聞 11月6日~8日 改革 評価する:70、評価しない:19、答えない:11
テレビ朝日 11月14日~15日 説明 納得できる:23、納得できない:54、答えない:23 *12
朝日新聞 11月14日~15日 対応 妥当だ:34、妥当ではない:36、その他・答えない:30 *13
朝日新聞 11月14日~15日 説明 納得できる:22、納得できない:49、答えない:29
共同通信 11月14日~15日 説明 十分:21、不十分:69.6 *14

なお質問の三つの種類別に平均を出すと以下のようになる*15

質問の種類 政府に肯定的 否定的
対応 39 37
説明 22 60
改革 60 21

一週間前と比べて任命拒否の賛否が逆転したが、これは同じ報道機関が調査を二回行った場合一回目を除外していることによるartefactの面がある(最近は対応についての質問をすることが少なくなったので、毎日新聞の質問結果の重みが大きくなる)。とはいえ10月上旬と比べると政府に肯定的な人が増えている。説明や改革については対応は変わらない。政府の説明は1対3くらいで否定的な人が多く、対して学術会議の改革には3対1くらいで賛成の人が多いという感じだ。