まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

ダーウィンと進化論の哲学

暑い日が続いておりますが、わたしが分担執筆した著書『ダーウィンと進化論の哲学』

ダーウィンと進化論の哲学 (科学哲学の展開)

ダーウィンと進化論の哲学 (科学哲学の展開)

出版されました。これは日本語で出版されましたダーウィン及び生物学の哲学の俊英(除く最終章を書いている人)による既発表の論文*1と新たに書き下ろされた論文からなる珠玉の論文集です。

編者の横山輝雄先生は、生物学の哲学の代表的な論客の一人であり、その人によって編纂された本書は、ダーウィンその人の議論からエボデボ、文化進化論、あるいは進化生物学と経済学の統合まで、日本人による進化論にかんする哲学的考察の集大成といっても過言ではありません。

ダーウィンと進化論に関心のある人には、これを機会に、ぜひ書店にて手にとって見て頂ければ(そしてアイドルグループの総選挙を超えるぐらいの勢いで買って頂ければ)幸いです。目次は以下の通りです。

はしがき

序論 ダーウィンと進化論の哲学(横山輝雄)

A ダーウィンの哲学

形質分岐の原理――ダーウィンとウォレス(内井惣七
19世紀イングランドの科学哲学――自然選択説をめぐって(青木滋之)
ダーウィンとイギリス自然神学――適応としての人間本性(矢島壮平)
ダーウィン革命」とは何であったか(横山輝雄)
現代進化論と現代無神論――デネットによる概観を軸に(木島泰三

B 進化論の哲学

生命を自然的に捉える(西脇与作)
進化論の還元不可能性(森元良太)
「エボデボ革命」はどの程度革命的なのか(戸田山和久
進化生物学と適応主義(松本俊吉)
文化の進化可能性――心理メカニズムの観点から(中尾央)
生物経済学――もう一つの統合(田中泉吏)
頻度仮説と進化からの論拠(網谷祐一)

また、関連図書として、昨年出版されました

進化論はなぜ哲学の問題になるのか―生物学の哲学の現在“いま”

進化論はなぜ哲学の問題になるのか―生物学の哲学の現在“いま”

また生物学の哲学の大家、エリオット・ソーバーの以下の訳書もお願いします(共訳)。
進化論の射程―生物学の哲学入門 (現代哲学への招待Great Works)

進化論の射程―生物学の哲学入門 (現代哲学への招待Great Works)

  • 作者: エリオットソーバー,Elliott Sober,松本俊吉,網谷祐一,森元良太
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2009/04/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 9人 クリック: 135回
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*1:といっても原著では手に入りにくいものもあります。