まとまり日記

私はこういうときでも自分がいじけなかったこと、力むことなくそういう風に育ったのが母への感謝なのである。これは大きかった。恥ずかしさの容量が大きいのは強いのだ。見栄を張らないで生きること、これは何よりも大きな糧である。(森信雄)

新米英語教師が見た本

四月から勤務先の大学で英語の授業を始めるに当たって参考にした本の紹介。まず手っ取り早く役に立ったのが次の本だ。高校英語授業を変える! 訳読オンリーから抜け出す3つの授業モデル (アルク選書シリーズ)作者: 金谷憲,高山芳樹,臼倉美里,大田悦子出版社/…

『進化論の射程』第二刷出来

皆様にご愛顧いただいていおりますソーバー先生の進化論の射程―生物学の哲学入門 (現代哲学への招待Great Works)作者: エリオットソーバー,Elliott Sober,松本俊吉,網谷祐一,森元良太出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2009/04/01メディア: 単行本購入: 9人 ク…

四月より(2)

科学研究費補助金(基盤C)にわたしの研究課題「人間理性の進化的起源についての『社会的転回』の哲学的検討」が採択されることになりました。ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願い申し上げます。

一年生ゼミ用図書(予定)

春から一年生のためのゼミを担当することになり、そこで使えそうな本をいくつか読んでみたので、簡単にレビュー(ただしわたしの所属学科は経済・経営系なので、それを前提として読んで下さい)。 新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)作者: …

四月より

私事ですが、四月より、東京農業大学・生物産業学部に常勤教員として赴任いたしました(ただしキャンパスは東京ではなくて北海道・オホーツクになります)。ブログ読者のみなさんは、わたしとは個人的な接点のない方が大半だと思います。それでも――就職活動…

ロブ・ルイス先生のインタビュー@SPring-8

前にSPring-8でモナシュ大学・サスカチュアン大学のロブ・ルイス教授のインタビューの通訳の仕事をしたのですが、それがアップロードされているのに今日気づきました。SPring-8が医学分野でどのように役立っているかおもしろいお話でした。あとインタビュー…

ベイズ主義のAベイズC (2)

ソーバー先生の本Evidence and Evolution: The Logic Behind the Science作者: Elliott Sober出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2008/04/21メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (14件) を見るのベイズ…

論文は「古畑任三郎」のように書く

先日論文の書き方について浮かんだことがあるのでメモ。それは、論文は『古畑任三郎』のように書くべし、というものだ。古畑任三郎 3rd season 1 DVD出版社/メーカー: フジテレビジョン発売日: 2004/09/15メディア: DVD購入: 1人 クリック: 11回この商品を含…

Thinking Twice

前に紹介したThinking Twice: Two Minds in One Brain作者: Jonathan St. B. T. Evans出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2010/11/28メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログを見るの書評がPhilosophy in Review誌にでまし…

にっちもさっちもいかないところまで

この間(コンピュータを遅くしない方の)ノートン先生のページを見ていると、おもしろいことが書いてあったのでちょっと翻訳。 にっちもさっちもいかないところまで科学哲学の新しいトピックについて読み始めるとき、何を探していけばよいだろうか。ポイント…

ベイズ主義のAベイズC (1)

前に紹介したソーバー先生の本Evidence and Evolution: The Logic Behind the Science作者: Elliott Sober出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2008/04/21メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (14件) を…

アタマでごちゃごちゃ考えるよりも

IQ and Human Intelligence作者: N. J. MacKintosh出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2011/04/30メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログを見るを読んでいたところ、こういう実験にぶつかった。*1次の問に答えてみてほし…

お仕事

最近のお仕事情報。 京都哲学会の『哲学研究』誌に"Modal flexibility of photographic artworks"という論文が掲載されます。分析美学の論文です。 「生物学史研究」の第86号に「博士論文を書き上げるまで〜北米科学哲学教育の一例〜」というエッセイを書き…

統計学の三つの問い

ソーバー先生の本Evidence and Evolution: The Logic Behind the Science作者: Elliott Sober出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2008/04/21メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (14件) を見るの第一章…

Early Modern Texts

近世の哲学のテキストを読むときに便利なサイトがあるので紹介。Early modern textsというサイトでは、カントやライプニッツからロック・ヒュームといった近世の哲学者の著作を、わたしのような語学力に不自由な素人でも読めるようにテキストを編集した形で…

あけましておめでとうございます。

ということで、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

一日のどこかで、プロジェクトのことを考える

博士論文を抱えている人に話したアドバイスの中で、ちょっと反応がよかったものがあるのでメモ。博士論文を書くのにはたいがい時間がかかる。一年から二年かかるというのはほとんど短い方の部類だ。そして博士論文を書くという段階に至った人は、「教える」…

「言語技術」が日本のサッカーを変える

「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)作者: 田嶋幸三出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/11/16メディア: 新書購入: 5人 クリック: 77回この商品を含むブログ (48件) を見るを読んだ。サッカーについての新しい考え方を示した本だが、少しつ…

創造的な人の特徴

授業の関係でPaul ThagardのHot Thought: Mechanisms and Applications of Emotional Cognition (A Bradford Book)作者: Paul Thagard出版社/メーカー: A Bradford Book発売日: 2008/08/29メディア: ペーパーバック クリック: 9回この商品を含むブログを見る…

Why We Cooperate

Why We Cooperate (Boston Review Books)作者: Michael Tomasello,Carol Dweck,Joan Silk,Brian Skyrms,Elizabeth S. Spelke,Deborah Chasman出版社/メーカー: The MIT Press発売日: 2009/08/28メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 75回この商品を含…

トーク@科学哲学センター

先日科学哲学センターでトークをしたのですが、トークの模様がセンターのディレクターであるジョン・ノートン先生によってレポートされていますので、もしよければご覧ください。わたしの顔写真が一杯出てきて恥ずかしいですが、欧米社会はそういう仕様なの…

科学の継続ではなく科学の解釈

授業の関係で読んでいるギャリー(Giere)のScientific Perspectivism作者: Ronald N. Giere出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2010/06/15メディア: ペーパーバック クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見るに科学哲学に関わる一節があった…

九月より

私事ですが、来る九月よりアメリカのピッツバーグ大学の科学哲学センターにてポスト・ドクトラル・フェローとして赴任することになりました。ピッツバーグ大学の科学哲学センターは、その世界ではすごいところなので、わたしがそんなところに行くなどという…

ぼくはこんな本を読んできた(夏休みに)

ヒトはいかにして人となったか―言語と脳の共進化作者: テレンス・W.ディーコン,Terrence W. Deacon,金子隆芳出版社/メーカー: 新曜社発売日: 1999/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (18件) を見る言語の進化についての浩瀚な…

知能にかんする本四冊

国際的な雑誌に論文が載るなら契約して魔法少女になってもよいと思っている今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか*1。さて最近知能にかんする本を何冊か読んだので、簡単にメモします。IQってホントは何なんだ?作者: 村上宣寛出版社/メーカー:…

ハトとヒト、どうして差がついたか...慢心、環境の違い

最近ためしてガッテンでも取り上げられたモンティ・ホール問題だが、ハトの方がヒトよりもモンティ・ホール問題をよく学習できる(かも)という論文を見つけた*1。モンティ・ホール問題とは以下のようなものだ。 あなたはクイズ番組に出演します。司会者はあ…

科学哲学には何が期待されていて何ができていないのか

『ダーウィンと進化論の哲学 (科学哲学の展開)』について評論家の山形浩生さんから厳しい書評をいただいた(リンク)。すでに他の方が指摘されている通り、あの書評には個々の論文について指摘された「問題点」について事実誤認や的はずれのところがある。他…

別の手段をもってする科学の継続

UCLのHasok ChangがThe Philosophers' Magazineのインタビューで、科学哲学の意義について語っている。Inventing Temperature: Measurement and Scientific Progress (Oxford Studies in the Philosophy of Science)作者: Hasok Chang出版社/メーカー: Oxfor…

理性をモデル化する

スティッチ&シュタインの議論では、自然選択からヒトが理性を持つことを直接導き出すのは難しいことがわかった。彼らはとくに「〈転ばぬ先の杖〉論法」を用いて、進化の道程において自然選択によって最適にデザインされた認知システムは、理性的なシステム…